TIPSお役立ち情報
有機溶剤である塗料やシンナーを使うスプレー塗装工程では局所排気装置(塗装ブース)の設置は労働安全衛生法で義務づけられています。
ここでは塗装ブースについて解説します。
塗装にスプレーブースが必要とされる理由は何ですか?
有機溶剤である塗料やシンナーを使う吹き付け塗装では、有害なガスやオーバースプレー(余分な霧化塗料)ミストが発生し、作業者の健康を損なうおそれがあります。
このため屋内作時には塗料ミストを含む空気を排出する必要があり、臨時作業等の場合を除いて、局所排気装置(スプレーブース)等の設置が労働安全衛生法である「有機溶剤中毒予防規則」により義務づけられているのです。(因みにドライブースはバッフル板に電化溶料を付着させ、ウォーターブースでは水に捕捉させますが、有機溶剤蒸気はどちらも捕捉回収しません。)
しかし、自動車の車体や航空機の機体、船体ブロック等の大型塗装で、有機溶剤蒸気の発散面が広いために局所排気装置や有機溶剤蒸気の発散源を密閉する設備の設置が難しい際は、プッシュプル型換気装置で代替することができます(同規則第12条。届出だけで可。)
ただし、ブッシュブル型換気装置としての条件を満たしていないものについては、特例として所轄の労監督基準監督署長の許可を得ることが必要です。この場合は送気マスクまたは有機ガス用防毒マスクの使用が条件となり、2年毎に許可の申請が必要です(同第13条・第33条。)
スプレーブースの排気ダクトについても法的規制があると聞きましたが?
換気装置の性能などについても有機溶剤中毒予防規則で規定されています。ご質問のダクトについては、
① 局所排気装置(スプレーブース)やプッシュプル型換気装置、全体換気装置等の排気口は、直接外気に向かって開放しなければならない。
② 空気清浄装置を設けていない局所排気装置等の排気口の高さは、屋根から1.5m以上としなければならない。
とされています(第15条の2。)
スプレーブースにはいろいろタイプがあります。
用途や規模に応じてご提案いたしますので弊社までお気軽にお問合せください。
なお「有機溶剤中毒予防規則第5条には、「事業者は、屋内作業場等において(中略)有機溶剤業務(中略)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行なう作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備または局所排気装置を設けなければならない」と規定されています。
有機溶剤中毒予防規則は労働安全衛生法、並びに労働安全衛生法施行令(政令)に基づく省令で、ボイラーやクレーンなど他の作業についても個別に省令があります。